2017年

9月

26日

ガソリン車は本当になくなるのか?

 ガソリンや軽油を燃料とするエンジン車を廃止する動きが、世界中で突然活発化してきました。これまで自動車に関わる環境保全の手段では、温室効果ガスの排出規制や税制や補助金の供出による電気自動車(EV)の普及促進が中心でした。今回の動きは一線を画する踏み込んだ施策であり、大きな潮流へと発展する可能性が出てきています。

 電気自動車は、エンジン車とは全く異なる技術体系と業界構造でのクルマづくりが求められます。機械部品に代わって電気・電子部品の存在感が大きくなり、電気・電子業界に新たなビジネスチャンスが生まれることは確実です。日経テクノロジーオンラインのコラム、テクノ大喜利では、エンジン車廃止の潮流から電気・電子業界に生まれる商機について議論しました。

図 二酸化炭素排出量の比較(Well to Wheel)
出典:財団法人 日本自動車研究所『総合効率とGHG排出の分析報告書』(平成23年3月)、および安井至「作り方で変わる水素の環境性、CO2の大幅削減はまだ遠い」(Wedge January 2015)を基に微細加工研究所の湯之上隆氏が作成

2017年

9月

14日

ダントツ半導体メーカーが闊歩する時代

 ここ数年間、半導体業界ではM&Aが立て続けに起きてきました。その結果、特定分野でダントツに強い半導体メーカーが生まれるようになりました。今や、1位企業のシェアが2位をダブルスコア、トリプルスコアで引き離し、市場で君臨するようになっているのです。

 莫大なデータを扱うIoTやAIの活用が広がり、半導体需要は今後も堅調に伸び続けていくことはほぼ確実な情勢です。そうした中、半導体チップの主要な品種それぞれに、市場と技術開発に大きな存在感を示すダントツ企業がいることは、半導体ユーザーのビジネスに、どのような影響を及ぼすことになるのでしょうか。日経テクノロジーオンラインのコラム、テクノ大喜利では、特定の分野に圧倒的な力を持った半導体メーカーが存在することの功罪を論じていただきました。

2017年

8月

30日

半導体にÅ時代が来るのか?

 ベルギーの研究開発機関imecは、2017年5月16日と17日に開催した「imec Technology Forum」で、新たな半導体ロードマップを公開しました。そこには、2025年以降の実現を想定して「14Å(1.4nm)」という新しいプロセスノードが付け加えられました。この新しいプロセスノードは、サブnm時代への突入を意味しているわけではありません。しかし、あえてÅという原子の大きさや結晶の格子定数を示すことに使われる、これまでとは別の単位を持ち出して新たなプロセスノードを提示した点に、さらなる微細加工技術の開発に挑む決意と、挑戦すべき技術課題の共有を意図したimecのメッセージを強く感じます。

 日経テクノロジーオンラインのコラム、テクノ大喜利では、「半導体、Å時代はくるのか?」と題して、半導体のÅ時代の意義と、そこでの課題を洗い出すことを目的として議論しました。

2017年

8月

22日

5Gは何に使うのだろうか?

 第5世代移動体通信システム「5G」の開発が、いよいよ「研究開発の段階」からサービスインを見据えた「商品化の段階」へと移りつつあります。5Gは、仮想現実(VR)、IoT、M2M、コネクテッドカーのような新しいアプリケーションでの活用を想定しているといいます。

 しかし、ビジネスとしての成功を疑問視する声は意外と多いのも事実です。日経テクノロジーオンラインのコラム、テクノ大喜利では、「商用化迫る5G、何に使うの?」と題して、5Gがビジネス的に成功するための条件を、5Gならではのアプリケーションとは何かを考えることで、あぶり出しました。

2017年

7月

27日

ルビコン川を渡ったソニー

 イメージセンサーのトップ企業であるソニーセミコンダクタソリューションズと独Bosch社が、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転向けの車載カメラの共同開発で技術提携することで合意しました。ソニーグループにとっては、車載向けビジネスへの参入は、かなり思い切った決断であると言えます。ソニーの社内では、いつのころからか「人の命に関わる製品は扱わない」という不文律が語られてきたからです。

 時代の要請を鑑みて動く現在のソニーは、不退転の覚悟を持って車載向け事業に参入することと思われます。日経テクノロジーオンラインのコラム、テクノ大喜利では「ルビコン川を渡ったソニーの未来」をテーマに、車載向け事業に参入した先にある同社の未来について議論しました。

2017年

7月

18日

SamsungがIntelを抜いて半導体トップに

 韓国Samsung Electronics社が2017年第2四半期に売り上げと営業利益で米Intel社を上回ったそうです。好調な業績は、NANDフラッシュメモリーやDRAMなどメモリー市場の活況が好調な業績の要因です。米国の調査会社であるIC Insights社などは、年間の売り上げでもIntel社を抜く可能性があると見ているようです。1992年以来、Intel社は半導体の売り上げ首位の座を25年間死守してきました。対するSamsung社は15年間連続の2位。実際にトップ交代が実現すれば、まさに歴史的な出来事だと言えます。

 

 日経テクノロジーオンラインのテクノ大喜利では「なぜSamsungは、いつも強いのか?」をテーマに、同社のビジネスの強さから学べること、さらには同社のウィークポイントについて議論しました。

2017年

6月

20日

AIとIoTは高度なアナログで覚醒する

 アナログ・デバイセズ(ADI)さんの記事広告の取材で、同社 社長兼CEOのVincent Roche氏にインタビューする機会を得ました(参照記事)。2017年3月にリニアテクノロジー(LTC)の買収を完了して、高性能アナログの盟主のとしての座を固めました。

 

 買収する以前、ADIもLTCも経営が行き詰まっていたわけではありません。来たるべき、AIとIoTの時代により有利なビジネスをするための買収だったといいます。何という貪欲さ。確かに、AIは膨大なデータを学んで、価値の高い情報処理をするのですから、データの収集口にあるアナログはとても重要です。また、情報処理した結果を、現実世界にフィードバックするときにもアナログを経由することになります。AIやIoTそのもののビジネスは、レッドオーシャンの様相を呈していますが、アナログは同社にとってのブルーオーシャンとなったのかも知れません。

2017年

6月

19日

ルネサスの復活は本物か?

 日経テクノロジーオンラインのコラム、テクノ大喜利で「ルネサスの復活は本物か?」と題して議論した記事の掲載を開始しました。

 

 ここのところのルネサスは、業績も回復し、産業革新機構や親会社の持ち株比率の削減が発表されるなど、本格的な復活の兆しを見せています。今回の議論では、この復活が本物なのか、さらには将来に向けて成長基調に入っていくのかを議論しました。苦しんでいた企業が元気になることはうれしいことです。ただし、苦境の中にいた時に、競合はさらに強力になっています。成長市場で、以前は考えても見なかったような競合を相手に、ルネサスがどのような手を繰り出すのか、大いに期待しています。ご一読ください。

2017年

6月

12日

IoTの成否を決める「電源問題」の諸事情

 日経テクノロジーオンラインの特設コラムで、「IoTの成否を決める「電源問題」の諸事情」と題した3回シリーズの記事の掲載を始めました。

 

 IoTでは、あらゆるものをインターネットにつなくわけです。そこに組み込む電子回路を動かす電力をどのように供給するかは、大問題です。頻繁に交換する必要があるバッテリーでは使い勝手は悪くなりますし、電源線を引き回すのでは利便性を著しく損なってしまいます。この記事では、こうした課題にどのように立ち向かっていくのか、さらにはその解決策として期待されているエネルギーハーベスティング技術の開発と利用は、どの程度まで進んでいるのか。赤裸々にレポートしています。ぜひ、ご一読下さい。

2017年

6月

09日

あなたの知らないロボットの世界

 日興アセットマネージメント様のお招きで、「あなたの知らないロボットの世界」というタイトルで講演をさせていただきました。ロボット産業を対象にしたファンドを営業している方々を対象にしたセミナーでした。

 

 ハイテク産業は、成長の妙味はありますが、一般的には分かりにくい分野です。確かに、ロボットは、ファンド向きのテーマだと思います。講演では、ロボット産業は成長確実な産業であることを前提にして、動きを正しくつかんで評価することが難しいこと、その一方で思っても見なかった切り口での成長企業が現れる可能性があることなどをお話ししました。こうしたテクノロジーを語らなければならないが、最新の動きが説明しにくい分野でのこうしたセミナーはとても有効だと思います。

2017年

6月

07日

DC48V駆動で激変する自動車電装設計

 日経テクノロジーオンラインの特設コラムで、「DC48V駆動で激変する自動車電装設計」と題した3回シリーズの記事の掲載を始めました。

 

 現在、欧州の自動車業界を中心に、クルマの中の電装品を駆動する電圧を従来の12Vから48Vへと引き上げる動きが加速しています。48V化することで、マイルドハイブリッドと呼ぶ簡易的なハイブリッド車が簡単に作れるようになると共に、電動ターボや電動サスペンションといった走りをよくする機能を搭載することもできるようになります。この分野はかつて、トヨタ自動車が42V車を投入して先行していたのですが、今は休止状態です。48V対応の部品などが出回ると、ロボットや産業機器などにもその恩恵が波及するといいます。これからの電機業界の行方を左右する技術です。ご一読ください。

2017年

6月

03日

いよいよフレキシブルな時代到来

 半導体製造蔵置の業界団体であるSEMIが主催するフレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス(FHE)に関する国際カンファレンス「2017FLEX Japan」のレポート記事を執筆させていただきました(レポート1レポート2)。

 

 日本ではまだまだ研究段階だと思いがちなFHEですが、海外の研究機関が医療・ヘルスケア用や軍用として、実用化間近の技術として開発に取り組んでいることを知って、とても驚きました。はっきり言って、日本より海外の方が進んでいます。製造装置や材料、さらにはフレキシブルなデバイスを活用したサービスまで、エコシステムが着実に形成されつつあることを感じました。是否ご一読ください。

2017年

5月

23日

AIで崩壊?ニッポンの製造業

 日経テクノロジーオンラインのコラム、テクノ大喜利で「AIで崩壊?ニッポンの製造業」と題して議論した記事を掲載いたしました。

 

 様々な分野での活用が検討されているAIですが、ICTベンダーが実施する数々の実証実験で、その得意分野が明確になってきました。その結果、暗黙知に基づく作業や工程、部品間での複雑な擦り合わせこそが、AIの得意技であることが分かってきました。こうした、擦り合わせは、日本のものづくりの競争力の源泉と言われてきたことです。AI活用の拡大は、日本の製造業のあり方を根本的に変えてしまう可能性があります。かなりの問題作だと思います。ぜひ、ご一読ください。

2017年

5月

22日

AI時代の組込みのお仕事

 ユークエストさんのホームページで連載させていただいているコラム「組込みの輪郭」で、「徹底予習:AI時代の組込みシステム開発のお仕事」というテーマで記事を執筆いたしました。

 

 ルネサス エレクトロニクスが4月に開催したプライベートイベントでも、組込みシステム向けのAI技術が発表されていました。IoTシステムのエッジ側に置く機器に組込むことを想定した、AIチップの開発も積極的に進められています。既に先行しているAIシステム開発では、プログラム開発からデータの収集・学習へと仕事の力点が移っています。今回の記事では、組込みシステム開発のエンジニアは、AI時代には何を強みにして仕事をしていくことになるのかを解説しました。ご一読いただけると幸いです。

2017年

5月

08日

ここは竜宮小僧の棲み処か

 ゴールデンウィークに実家がある浜松に帰省しました。ついでに、現在放映中の大河ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台になった浜名湖北部の引佐町 井伊谷に行ってきました。

 

 さすがに、大河ドラマ効果で、ここにこんな多くの人がいるのを生まれてこの方見たことがないといった状況でした。井伊谷には、竜ヶ岩洞という鍾乳洞があります。小学校の遠足でいったきり、訪れることもなかったのですが、久しぶりに入る鍾乳洞はこんな長かったのかと思えるほど壮大でした。洞窟の中には、とても大きな滝があるのですが、ここは撮影禁止で残念でした。一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

2017年

4月

17日

どうなる、東芝メモリ(仮)

 日経テクノロジーオンラインのコラム、テクノ大喜利で「どうなる、東芝メモリ(仮)」と題して議論した記事を掲載しました。

 

 経営難に陥った東芝の窮地を救うべく、4月1日に分社化して間もない東芝メモリの株式の過半が、外部に売却されることが決まっています。世論は、同社の事業価値の高さや重要性は認めながらも、大会社の東芝から追い出されてかわいそうといった同情論が多いように見えます。しかし、私は、これは飛躍の契機になるのではと思っています。今回のテーマでも、おなじみの大喜利メンバーが、それぞれの視座から、率直な意見を披露しています。中には、思ってもみなかった気づきも多く含まれています。ぜひ、ご一読ください。

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2017年

4月

07日

弊社が企画・制作した記事広告、日経BP Marketing Awards受賞!!

 弊社が企画・制作した、アルプス電気様の「圧接コンタクト 「micro clip」」の記事広告が、「第3回(2017年)日経BP Marketing Awards」のストラテジック部門 優秀賞を受賞いたしました。

 

 この記事広告は、アルプス電気様が、同社の機械加工技術の粋を結集して開発した、電子機器の基板間コンタクト部品に関するものです。実はこの部品、開発したアルプス電気様自身も、技術には自信があるものの、どの位の市場価値があるのか分かりかねていた製品でした。私たちは、数多くの電子機器の内部をよく知る分解のプロと、電子回路設計のプロを招聘。開発者とガチンコの座談会を開いて、応用の広がりや活用のメリットを探り出しました。そして、その様子を3回シリーズの記事広告にまとめ、技術誌に掲載いたしました。

 

 アルプル電機様によると、記事の反響はすさまじく、思ってもみなかったようなところからも問い合わせや商談が舞い込んだと言います。私たちも、このような素晴らしい企画に参加できる機会をいただき、とても光栄であり、感謝しております。今後も、こうした優れた技術の価値を伝える、ひと味違うコンテンツを企画・制作していきます。ご期待ください。

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2017年

4月

06日

桜は石垣やお堀とよく似合う

 桜が満開になりました。開花予想にだまされて、お花見はもう随分前に済ませてしまいましたが、それでも満開になれば春を実感して心が晴れやかになります。

 

 写真は、赤坂見附の弁慶橋の桜です。千鳥ヶ淵もそうですが、桜は石垣やお堀とよく合いますね。ただ自然であるだけでもなく、完全な人工物というだけでもない、両者が絶妙に融和した景色がとても好きです。東京は、世界の中でも有数の自然と人が融和した都市だと思います。この季節に海外から訪れている観光客が嬉々として写真に収めている様子を見ると、そのことをとても誇りに感じます。

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2017年

3月

20日

トランプ大統領で電子産業はどう変わる

 日経テクノロジーオンラインのコラム、テクノ大喜利で「トランプ時代の歩き方」と題して議論した記事を掲載しました。

 

 就任以来、何かと話題の米国のトランプ大統領ですが、打ち出す政策がハイテク産業に厳しく、旧来の産業にやさしく見えます。では、アナリストや技術者、大学教授など視座の異なる人たちは、電子産業への影響をどのように見ているのか、ブレインストーミングしたのが今回の記事です。テレビのニュースなどでは、同一論調の批判ばかりが目につきますが、今回は客観的かつ多角的な視点を数多く抽出できたかと思います。ぜひ、ご一読ください。

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2017年

3月

17日

触覚の時代がやってきた

  TELESCOPE Magazineで、「デジタル化した触覚がUIとメディアを変える」と題した連載を3回シリーズで開始しました。最近、スマートフォンのユーザーインタフェースや、VRゲーム機などに利用されて体験する機会が増えた触覚フィードバックの動向をまとめた記事です。

 

 人間は、五感で周辺状況を察知しているといながら、得ている情報の大部分を視覚と聴覚から得ています。では、他の感覚が不要なのかと言えばそうではありません。特に触覚は、実体感を感じるために欠かせない感覚です。触覚を電子的に自在に操ることができれば、実体感が伴うUIやメディアを生み出すことができます。とても未来的な話題が多い分野です。ぜひ、ご一読ください。

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