父が買ってくれたあのラジオ

 銀座のソニービルで、ソニーの歴史的製品を振り返る「It's a Sony展」が開催されていました。現在のソニービルは、3月一杯で閉館し、解体されてソニーパークという新しい建物になるそうです。It's a Sony展では、2月12日までは歴史を、2月22日からは未来をテーマに様々な展示やイベントが催されます。

 

 私が行ったのは、歴史を振り返るパートの最終日でした。そこでは、かつてあこがれたカッコイイ製品の数々と再開できました。特に目を引いたのは、私がかつて持っていたBCLラジオ「スカイセンサー5800」です。当時、小学生だった私は、どんなに欲しくても、こんな高級ラジオを自分で買えるはずもなく、同じカタログを何枚も持って満足していました。ボロボロになるまで見て、さすがに読めなくなるとまた新しいカタログを持ってきていたのです。

 

 私の父は、何をねだっても何も買ってくれない人でした。でも、スカイセンサー5800だけは、なぜか買ってくれました。2万円以上する小学生には過分なラジオで、宝物でした。CMで紹介されたラジオ・オーストラリアのワライカワセミの鳴き声を聞こうと懸命にチューナーを探ったのはよい思い出です。

 

 父も既に亡く、スカイセンサー5800は、実家のどこにあるかも分かりません。でも、次に帰省するときにはちょっと探してみたいと思いました。