展示会での新しいタイプの展示を取材させていただく機会がありました。
東京ビッグサイトで、来日外国人向けのサービスや製品を集めた展示会「INBOUND JAPAN 2016」という展示会が開催されました。そこで、富士通が「o・mo・te・na・shi 2025プロジェクト」と題したブースを出展しました。このブースの画期的な点は、展示・プレゼンテーションしているモノが全て、試作品と未完成品で占められている点です。すぐに提供できるサービスや製品は、1つもありません。大学や研究機関、投資を募るスタートアップを除いて、展示会でこのような展示をしている企業は、いまだかつてなかったように思います。
「o・mo・te・na・shi 2025プロジェクト」というのは、2020年に開催される東京オリンピックを機に来日した外国人に、「また日本を訪れたい」と感じてもらえるような、おもてなし感たっぷりの新サービスを作り出すことを目的にしたプロジェクトです。富士通だけでサービス開発しているわけではなく、同社の顧客、そしてNPO法人ハナラボに属する女子大生が一緒になって知恵を出し合って、新しいサービスを共創しています。そして、この展示会に生み出したサービスの試作品を展示することで、来場者の反応や示唆を集めてブラッシュアップしたり、新たなパートナーを獲得したりしようという狙いなのです。
以前ならば、試作品や未完成の展示は、競合にマネされてしまう可能性があるため、百害あって一利なしと思われていました。しかし近年では、1社だけでは魅力的なサービスや商品を作れないようになってきました。エコシステムの構築が重要な商品開発やビジネスが増えているのです。このため、さまざまな分野の展示会で、新製品やおすすめ製品の訴求や顧客開拓ではなく、事業パートナーを募ることを目的にした出展が増えています。今回の富士通の試みは、その究極の形であり、マーケティングの新しい時代を拓くよい試みだと思います。
コメントをお書きください