ソフトバンクがARMを買収する意義

 ソフトバンクがプロセッサーコアの設計会社であるARMを約3.3兆円で買収しました。ARMは、iPhoneのプロセッサー「Ax」、Androidスマホの「SnapDragon」にも搭載されています。まさに孫正義社長が「スマホ市場で最大の成功者」と表現するのに値する会社だと思います。ソフトバンクは、この買収によって、IoT関連ビジネスを優位に進めていくのだと言います。

 

 ここ数年のIT業界では、スマホがIT機器の王様のポジションにいました。これからは、スマホという一つの形態の機器が大量に出回るのではなく、自動運転車、ウエアラブル機器、白物家電やロボットなど多様な機器が当たり前のようにネットにつながる時代になります。機器の形態は確実に多様化していきますが、確実に言えることは、そのほとんどにARMのプロセッサーコアが搭載されるようになると言うことです。まさに、多様な有機物を作り出す、炭素原子のような存在だと言えます。

 

 今回の買収でソフトバンクが得る直接のリターンが、どの程度魅力的なものだったのかは分かりません。しかし、今後のソフトバンクの戦略立案を圧倒的に有利に進めることができるのは確かでしょう。

 

 これほど虚を突かれる、まったく想定外の組み合わせでの買収は珍しいのではないでしょうか。しかし、決まってしまえば、合点がいくことばかり。ただただ、さすがです。