自動運転だからこその事故リスク

 米Tesla Motors社の電気自動車「Model S」が、「Autopilot」機能で走行中に死亡事故を起こしました。技術的な問題の指摘もありますが、ドライバーがDVDを鑑賞していた点が原因とする声もあります。技術の高度化と共に、ドライバーがいかに自動運転車に向き合うかが、問われる時代になりました。

 

  自動運転車は、完全な自動運転が実現するまで、操縦の権限を段階的に機会に移行させながら技術を熟成させていくシナリオが採られています。私は、この移行期間が、一番事故リスクが大きくなる期間になるのでは、と懸念しています。自分の乗っているクルマの自動運転がどのような機能を備えているのか、そしてどの程度信用できるものなのか、正確に把握することが困難だからです。自動化のレベルが異なるクルマが混在する場合には、クルマを乗り換えるたびに混乱することになるでしょう。

 

 段階的に自動化レベルを上げていくことは、自動車業界の立場から見れば必要なシナリオに思えます。しかし、完全な自動運転車が完成するまでは、少なくとも「自動運転車」であると言い切ったマーケティングは控えるべきだと思います。あくまでも、高度運転支援システム(ADAS)の一種であると、ドライバーに啓蒙する必要があるのではないでしょうか。