メーカーの開発とオウンドメディア

 先日、ある電子部品メーカーで、新市場の開拓を狙った技術を開発しているエンジニアをインタビューする機会がありました。そこで開発していた技術は、その会社にとって事業経験がない分野に向けた技術であるため、技術のユーザーの声を聞けないことが悩みだと言います。このようなケースはよくあると思われますが、どのようにユーザーの声を吸い上げたら良いのか思案のしどころです。未経験分野での製品開発は、社内でいくら会議を開いて考えても、的確な答えは出ません。


 その会社は、とりあえず、新しい技術を使って開発した電子部品を搭載した一般消費者がすぐに利用できるシステムを開発。そして、これを安価に販売することにしました。電子部品メーカーですから、システムの開発・販売は本業ではありません。システムの販売で売り上げようとするのではなく、ユーザーの声が聞きたくて、ユーザーを集められる製品を作ったのです。なかなかガッツがある会社です。

 

 ただし、作ったシステムをどのように販売したらよいのかという問題に突き当たりました。事業経験のない分野、しかも本業の電子部品ではなくシステムを販売するわけですから悩んで当然です。ここでディストリビュータを頼ると、顧客情報を得ることができず、目的のユーザーの声を集めることができません。

 

 ただし、この件では大量に売って利益を得ることが目的ではなく、ユーザーからのフィードバックが貰いたいことに注目すれば、解があります。そう、オウンドメディアを使うです。見込み客になる可能性のある読者を広く集めるコンテンツを作り、そこで開発したシステムの存在を知らせるのです。自社サイトに掲載するオウンドメディアならば、興味を持ってくれたユーザーにアクセスすることも用意になります。実際、その電子部品メーカーでも、それに類した方法での販売を考えていました。

 

 メーカーの開発部門が、マーケティングのツールであるオウンドメディアを有効に活用している好例です。